前歯のすき間が気になり、笑うときや写真を撮るときに口元を隠してしまう方もいらっしゃいます。
すきっ歯は見た目だけでなく、状態によっては発音や噛み合わせに影響することがあります。この記事では、すきっ歯の原因や放置した場合に考えられる影響、ワイヤー矯正による治療方法、治療期間・費用について解説します。
すきっ歯(空隙歯列)とはどんな状態?
すきっ歯とは、歯と歯のあいだにすき間が空いている歯並びのことで、歯科では「空隙歯列(くうげきしれつ)」と呼びます。とくに上の前歯の真ん中が離れているものは「正中離開(せいちゅうりかい)」といい、目立ちやすいため気にされる方が多い状態です。すき間は前歯だけに現れることもあれば、複数の歯のあいだに散らばって見られることもあります。
どのくらいから気にすべきか、という明確な線引きはありませんが、見た目が気になる、食べ物がはさまりやすい、発音が気になるといった不便を感じるようであれば、一度状態を確認しておきましょう。すき間が生じている背景は人によって異なり、歯そのものの大きさや位置の問題もあれば、顎の骨格や癖が関わっている場合もあります。原因は見た目だけでは判断しにくいため、歯並びや噛み合わせ、顎の状態を検査したうえで診断することが大切です。
すきっ歯になる原因
すきっ歯は「たまたますき間が空いた」というより、いくつかの原因が重なって生じていることが多い歯並びです。原因によって治療の進め方や、治した後に戻りやすいかどうかも変わってきます。ここでは代表的な原因を種類ごとに見ていきましょう。
顎と歯の大きさのバランス
顎の大きさに対して歯が小さい場合や、歯の本数が少ない場合は、歯が並ぶスペースに余りが生じ、すき間ができることがあります。生まれ持った骨格や歯の形が関わるため、成長の段階で気づかれることもあります。
遺伝的な要因
歯の大きさや顎の形はご家族で似ることがあり、親御さんにすきっ歯の傾向があると、お子さまにも同じような特徴が現れる場合があります。遺伝そのものを避けることはできませんが、早めに把握しておくことで対応の選択肢を持ちやすくなります。
上唇小帯の位置や形
上唇の内側と歯ぐきをつなぐ上唇小帯が、前歯の歯ぐき付近まで伸びていると、前歯のすき間が閉じにくくなったり、矯正後の後戻りに関係したりすることがあります。処置が必要かどうかや適切な時期は、永久歯の生え方や上唇小帯の状態を確認したうえで判断します。
舌や唇の癖
飲み込むときや話すときに舌で前歯を押す癖、口をぽかんと開けたままにする癖などが続くと、歯に少しずつ力が加わってすき間が広がることがあります。小さな癖でも長く続くと影響が出るため、治療とあわせて癖の見直しが必要になることも少なくありません。
歯周病による歯の移動
歯を支える骨が歯周病で減ってくると、歯が動きやすくなり、これまでなかったすき間が生じることがあります。大人になってから急にすき間が目立ってきた場合は、歯ぐきの状態も含めて確認しておくことが大切です。当院では歯科衛生士による歯周病予防にも力を入れており、土台となる歯ぐきの状態を整えながら治療を考えていきます。
すきっ歯は自然に治る?
結論からお伝えすると、いったん空いたすき間が自然にふさがることは、大人ではほとんど期待できません。歯が動いてすき間ができている以上、原因が続いていればむしろ広がっていくこともあります。お子さまの場合は、乳歯から永久歯への生え変わりの途中で一時的にすき間が見えることがあり、成長とともに変化するケースもありますが、自己判断せず一度診ておくと安心です。
また、インターネットで見かける「輪ゴムなどで自分ですき間を閉じる」といった方法は、歯や歯ぐきを傷めたり、歯が抜け落ちる危険につながったりするため、絶対に行わないでください。すきっ歯は歯そのものを適切な方向へ動かして整えるのが基本です。気になるすき間があるときは、無理に触らず当院までご相談ください。
すきっ歯を放置するとどうなるか
すきっ歯は「見た目だけの問題」と思われがちですが、そのままにしておくと日常のいろいろな場面に影響が出ることがあります。ここでは代表的なものを挙げます。あてはまるものがないか、ご自身の状態と照らし合わせてみてください。
発音がしにくくなることがある
前歯にすき間があると、そこから息が漏れてサ行やタ行などが発音しづらくなることがあります。会話や仕事で人と話す機会が多い方は、気になりやすいポイントです。
むし歯や歯周病のリスクが高まる
すき間の位置や大きさによっては、食べ物がはさまりやすくなることがあります。食べ物や汚れが残った状態が続くと、歯ぐきの炎症やむし歯につながることがあるため、歯ブラシに加えてフロスなどを使った清掃が大切です。
噛み合わせや他の歯へ影響することがある
すきっ歯に噛み合わせのずれを伴っている場合は、特定の歯や顎に負担がかかることがあります。当院では、前歯のすき間だけでなく、顎の位置や噛み合わせも確認したうえで治療計画を立てます。
すきっ歯をワイヤー矯正で治す方法
すきっ歯は、ワイヤー矯正によって歯を少しずつ動かし、歯と歯の間のすき間を閉じていきます。当院では精密検査を行い、前歯のすき間だけでなく、歯並びや噛み合わせ、顎の状態まで確認したうえで治療計画を立てます。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、歯の表面にブラケットと呼ばれる装置を取り付け、ワイヤーの力を利用して歯を少しずつ動かす治療方法です。歯を根元から細かく動かせるため、前歯のすき間を閉じるだけでなく、歯列全体や奥歯の噛み合わせも含めて調整できます。
すきっ歯の状態によっては、前歯を動かすだけでは噛み合わせのバランスが崩れることがあります。そのため当院では、お口全体の状態を確認し、すき間の改善と安定した噛み合わせの両立を目指して治療を進めます。
抜歯が必要かどうかについても、すき間の大きさだけで判断することはありません。歯の大きさや位置、顎とのバランス、噛み合わせなどを精密に調べ、それぞれの状態に応じてご説明いたします。
すきっ歯の矯正は非抜歯で治せるのか
すきっ歯はもともと歯のあいだにすき間がある状態のため、そのスペースを利用して歯を寄せていくことが多く、抜歯をせずに治せるケースが少なくありません。当院では、できる限り歯を抜かない矯正治療を検討しており、抜歯が必要かどうかは、すき間の量や噛み合わせ、顎の状態を精密に確認したうえで判断します。
診断にはセファロ分析(頭部エックス線規格写真による分析)を用い、歯や顎の位置を数値でとらえてから治療計画を立てます。他院で抜歯や治療が難しいと言われた方や、以前の矯正のあとにすき間が戻ってしまった方についても、状態を確認したうえで対応できる場合があります。まずはご自身の歯を活かせるかどうかを含めてご相談ください。
すきっ歯の矯正にかかる期間と費用の目安
治療にかかる期間や費用は、すき間の大きさや動かす範囲、噛み合わせの状態によって幅が出ます。ここでは目安をお伝えしますが、実際の見通しは検査のうえで一人ひとりにご説明いたします。
治療期間の目安
前歯のすき間を閉じる治療なら数か月から1年程度、噛み合わせ全体を整える治療では1年から2年半ほどが一つの目安でしょう。ただし、動かす歯の数や癖の有無によって個人差があり、あくまで参考の範囲としてお考えください。すき間を閉じたあとには、位置を安定させるための期間も別途かかります。
矯正治療の費用とリスク
歯並びの矯正治療は基本的に自由診療(保険が適用されない自費)で、装置や治療範囲によって費用が変わってきます。当院の料金の詳細は料金のご案内ページでご確認ください。矯正治療には、治療中に歯みがきがしにくくなることでむし歯や歯ぐきの炎症が起きやすくなる、歯を動かすことで一時的に痛みや違和感が出る、歯の根が短くなる(歯根吸収)といったリスク・副作用も伴います。費用とあわせて、こうした点も事前に丁寧にお伝えしたうえで治療を進めてまいります。
すきっ歯の治療後にすき間が戻らないための対策
矯正で閉じたすき間は、治療が終わった直後は元の位置に戻ろうとする性質があります。これを後戻りといい、すきっ歯はとくに、原因となっていた癖や上唇小帯の状態が残っていると戻りやすい傾向があります。
そのため当院では、すき間を閉じたあとに歯の位置を安定させる保定(リテーナーによる後戻り防止)の期間を大切にしています。あわせて、舌で歯を押す癖などがある場合はその見直しにも取り組むことで、整えた状態を長く保てるようにしていきます。以前受けた矯正のあとにすき間が戻ってしまったという方の、やり直しの矯正にも対応していますので、あきらめずにご相談ください。
よくある質問
すきっ歯は大人になってからでも矯正できますか
はい、年齢を重ねてからでも歯を動かして治療することは可能です。ただし、歯ぐきや骨の状態によって進め方が変わるため、まずは現在の状態を確認したうえで計画を立てます。
前歯の小さなすき間だけでも治療できますか
すき間の場所や大きさ、噛み合わせによっては、範囲をしぼった治療を検討できることもあります。ただし、見た目だけで判断せず、奥の噛み合わせも含めて確認してからのご提案となります。
すきっ歯の矯正は痛いですか
歯を動かし始めた数日間は、締めつけられるような感覚や軽い痛みが出ることがありますが、多くは数日で和らいでいく傾向があります。感じ方には個人差があるため、気になる場合は遠慮なくお伝えください。
鎌倉ですきっ歯・前歯のすき間の矯正でお悩みの方はカマクラデントフェイシャルオーソピディクス山本歯科・矯正へ
前歯のすき間は、原因や噛み合わせを確認したうえで、歯を削らずに矯正治療で整える方法を検討できる場合があります。当院はJR鎌倉駅から徒歩2分、セファロ分析による診断のもと、なるべく歯を抜かない治療を大切にしています。
すきっ歯の症例
【症例1】崩壊咬合
- 主訴:歯並び
- 症状:崩壊咬合
- 年齢:48歳
- 治療に用いた主な装置:エッジワイズ装置
- 抜歯部位:非抜歯
- 治療期間:2年9ヶ月
- 治療費:720,000円
- リスク・副作用:共になし
【症例2】空隙歯列
- 主訴:すきっ歯
- 症状:空隙歯列
- 年齢:48歳
- 治療に用いた主な装置:エッジワイズ装置
- 抜歯部位:非抜歯
- 治療期間:1年6ヶ月
- 治療費:720,000円
- リスク・副作用:共になし